東洋医学からみた足底腱膜炎
足裏が痛くなって、病院に行くと、痛みの原因は、骨棘であると言われることが多いのではないでしょうか。
西洋医学では、足底筋膜炎の原因は、骨棘だと考えられています。
しかし、実際には骨棘があっても痛みがない人もいるし、また、痛くない人でも骨棘がある人もおられます。
また、西洋医学的な視点でリハビリや治療を行っても、治癒には、半年から数年かかると言われています。
このように、なかなか治らない足底筋膜炎の足の痛み。
東洋医学的にみると、何が原因で、どうすれば改善すると考えられるのでしょうか。
東洋医学からみた足底筋膜炎
実は、中国では、2000年以上前に足底筋膜炎の原因は解明されていたのです。
足底筋膜炎で一番多い症状は、朝起きたときや、立ち上がるときの一歩目の辛さです。
英語でスターティングペインと言われるこの症状は、東洋医学では、痺症(ひしょう)と呼ばれています。
耳慣れない【痺証】とはどんな状態なのでしょうか。
「基礎東洋医学」神戸中医学研究所編著によると、
痺証とは、風寒湿の三邪が、虚に乗じて経絡に侵入し、気血を粗滞した状態
わかりやすく説明すると、
”弱っているときに、体が冷えると気の流れが滞って痛む”ということです。
これが足底筋膜炎の特徴であるスターティングペインの原因の多くは、冷えだということなんです。
なぜ足裏が痛くなるのか
一歩目や朝起きたときの痛みは、足裏だけではありません。
朝起きたときに腰がいたいという方や、椅子から立ち上がると股関節が痛いという方も少なからずおられます。
これらも、痺証と考えていいと思います。
では、なぜ、足裏に痺証がおこるのでしょうか。
経絡と五臓六腑
東洋医学では、五臓六腑というお腹の中がすべての中心であると考えられています。
そして、五臓六腑と全身をつなげているのが経絡というルートです。
足裏にも、経絡というルートが走っていて、このルートを腎経(じんけい)といいます。
東洋医学でいう腎(臓)の状態があらわれるのがこのルートです。
東洋医学の腎は、成長、生殖、水分代謝、呼吸に関わるとされていて、生命の源と考えられる大切な臓なんです。
ここが弱ることで、腎のルートである腎経(足裏)が滞って痛みがでる。
これが、足底筋膜炎だといえます。
どうすれば足の痛みは改善するのか
痺証の原因は冷えが大半なので、温めることで、大半の足の痛みは改善します。
一番カンタンで効果のある温めは、なんと言っても毎日しっかりお風呂にはいること。
また、もともとはお腹の中に原因があるため、お腹にカイロをはったり、腰にカイロを貼って温めることでも改善を早めることができます。
そして、冷たいものを取らないということも非常に大切なんですね。
どうしても、痛い部分に何かをしたくなりますが、原因はお腹の中にあるので、痛い部分にアプローチしても大きな効果はありません。
逆に痛い部分を刺激すると交感神経が優位になって、症状が悪化する可能性もあります。
まとめ
アイシングをしたり、マッサージをしてもなかなか良くならない足底筋膜炎の足の痛み。
東洋医学的にみると、腎経の冷えが原因だったんです。
五臓六腑というお腹の中に原因があると考えると、足に湿布をはっても効かないのも納得できますよね。
頭痛のときに、頭に湿布をはるひとはいないと思いますが、おなじことなんです。
視点を変えると、見えてくるものは違います。
西洋医学で治りづらい慢性の痛みの多くは、意外にも東洋医学の視点でみると、改善の可能性が高いと感じています。